愛知県における八丁味噌のブランド論争を県外の人にも分かりやすく簡潔に解説します。

全国のニュースではほとんど話題になっていませんが、今、東海地方(主に愛知県)で論争となっている「八丁味噌(はっちょうみそ)」について簡潔に解説します。

 

八丁味噌は味噌の中の高級ブランド

 

八丁味噌というと、いわゆる「名古屋めし」に使われる定番調味料という印象をお持ちの方が多いかもしれません。でも、それはちょっと違います。八丁味噌は愛知県岡崎市八帖(はっちょう)町にある味噌蔵の「カクキュー」と「まるや」が江戸時代から製造する味噌の高級ブランドで、あの徳川家康も好んだという由緒正しいものです。

 

八丁味噌の製法と他の味噌との違い

 

この八丁味噌、他の味噌とどう違うかというと、まず熟成期間が一般の味噌が数週間〜1年であるのに対し、八丁味噌は「ふた夏ふた冬」つまり足掛け3年以上と長いもので、材料も米や麦などは使わず、大豆麹、塩、水、とシンプルに徹しています。また製法や味噌桶に住み着いた微生物も蔵元によって微妙に異なるため、正式に「八丁味噌」と呼べるのは、岡崎市八帖町で製造される八丁味噌だけと考えるのが地元の人たちの常識です。

 

騒動の発端

 

ところが愛知県下の45の蔵元や企業などが参加する愛知県味噌溜醤油工業協同組合が、八丁味噌の名称を農水省にGI(地域の特産品を保護する制度)申請し、これが認可されたために、組合に参加しない岡崎市八帖町の蔵元「カクキュー」と「まるや」が八丁味噌の名称を使用できなくなるかもしれないという事態に陥ってしまったのです。しかもカクキューとまるやは、愛知県味噌溜醤油工業協同組合がGI申請をするよりも前に農水省にGI申請をしていたのにも関わらず、製法や産地表示の面で折り合いがつかず交渉が決裂していたのでした。

 

偽物が本物として売られる事態に

 

これを知った地元の人たちからは一斉に反発の声が上がりました。そもそも農水省のGI制度は地域の特産品を保護するための制度のはずです。それが産地を「愛知県内」と大幅に拡大し、製法の基準も大幅に緩和(熟成期間半年、ステンレス製桶可)したのですから無理もありません。今後、愛知県で売られる「八丁味噌」は製法も産地も別物の偽の八丁味噌ということになったわけです。

 

愛知県内は戦国時代に逆戻り

 

この騒動に元々あった尾張三河の確執や、さらには名古屋が周辺地域の名物を名古屋の名物と偽り続けていることへの怨嗟の情念もあいまって、騒動は県民全体を巻き込んだ大論争へと発展していったのでした。

 

騒動の顛末としては概ねこういったところです。県外の皆さんはこの騒動をどうご覧になりますか?

 

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